頭痛、特に片頭痛のメカニズムと原因について、最新の医学的観点から以下のように説明できます。

視床下部と神経系の役割
片頭痛の発症には、脳の視床下部が重要な役割を果たします。視床下部は体内の多くの機能をコントロールする中心であり、片頭痛が起こる前の段階で異常な活動を示します。視床下部から分泌されるPACAP38（pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide 38）などの新たな分子が頭痛発作に関与していることが明らかになっています。視床下部からのシグナルは三叉神経脊髄路を介して副交感神経系を活性化し、頭痛を引き起こします。

脳血管拡張とセロトニン
片頭痛の発症メカニズムの一つは、脳血管の拡張です。様々なきっかけ（ストレス、月経、薬など）で血小板からセロトニン（5-HT）が放出され、脳の血管が初期的に収縮し、その後反動で血管が過剰に拡張します。この血管拡張が痛みを伝える三叉神経を刺激し、強い頭痛を引き起こします。

カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）
CGRPは、脳内で痛みの信号を伝える神経経路である三叉神経を刺激し、頭痛を引き起こす物質です。CGRPの放出が増加すると、片頭痛の症状が悪化することがあります。最新の治療法では、CGRP受容体拮抗薬やCGRP自体をターゲットにしたモノクローナル抗体治療が開発されており、これらは片頭痛の頻度と重症度を減少させる効果があります。

三叉神経と脳の過敏状態
血管の壁には痛みを伝える三叉神経が分布しており、これが脳の中心にある三叉神経核まで痛みの信号を伝えます。この三叉神経核を中心として脳細胞が興奮して敏感になった状態が起き、伝わってきた痛みの信号をさらに強めてしまうことがあります。さらに、三叉神経支配領域の様々な場所に痛みをきたす「アロディニア」という状態も発生することがあります。